骨格を整えるならまずは丸まるから
◾️「姿勢を良くしましょう」
「背筋を伸ばしましょう」
こうした言葉は、私たちの生活の中でとても身近です。ですが、骨格を本当に整えるという視点で見ると、いきなり「伸ばす」「正す」ことは、実は遠回りになることが少なくありません。
骨格を整える第一歩は、まず“丸まる”こと。
これは、だらしなくなるという意味ではなく、本来あるべき背骨の動きを取り戻すという、とても大切なプロセスです。
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背骨は「伸ばす」前に「動ける」ことが大切
背骨は一本の棒のように見えますが、実際は24個の椎骨が連なった「関節の集合体」です。
それぞれの椎骨の間が、ほんのわずかずつ動くことで、背骨はしなやかに動きます。
ところが現代人の多くは、
• 長時間のスマホ
• デスクワーク
• 無意識の力み
• 「良い姿勢を保たなきゃ」という思い込み
こうした影響で、背骨を固めたまま生活しています。
固まった背骨は、見た目は「伸びている」ようでも、実際には動けない背骨。
動けない背骨を無理に伸ばそうとすると、腰や首、肩など一部に負担が集中し、不調が起こりやすくなります。
だからこそ必要なのが、「まず丸まる」という動きなのです。
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なぜ「丸まる」と骨格が整い始めるのか
背骨を丸める動きは、専門的には「屈曲」と呼ばれます。
この屈曲の動きには、骨格を整えるための重要な役割があります。
① 背骨一つ一つの関節が目覚める
丸まることで、普段サボりがちな背骨の小さな関節が、順番に動き始めます。
「一気に動かす」のではなく、「一椎ずつ動く」感覚を取り戻すことができます。
② 力みが抜ける
背骨を伸ばそうとすると、無意識に力が入ります。
一方、丸まる動きは、力を抜かないとできない動き。
体にとって不要な緊張が自然とほどけていきます。
③ 本来のカーブをリセットできる
猫背=悪、反り腰=悪、という単純な話ではありません。
問題なのは「固定されていること」。
一度しっかり丸まることで、背骨のカーブがリセットされ、そこから自然な位置へ戻りやすくなります。
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「丸まれない人」が実はとても多い
実際に体を見ていると、
「姿勢を良くしようとすると固まるけど、丸まろうとすると動けない」
という方がとても多くいらっしゃいます。
• 背中が途中で止まる
• 腰だけが丸まる
• 首だけが前に出る
これは、背骨全体が連動せず、一部だけで動こうとしているサインです。
つまり、丸まれない=背骨が分断されている状態。
この状態で「良い姿勢」を作ろうとすると、どうしても無理が生じます。
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整った骨格とは「止まれる」より「行き来できる」
骨格が整っている人は、
・まっすぐ立てる
・姿勢がきれい
というイメージを持たれがちですが、実はそれ以上に大切なのが、
丸まれるし、伸びられる
動いたあと、自然に戻れる
という「行き来できる状態」です。
丸まる → 伸びる
力が抜ける → 勝手に整う
この流れがあるからこそ、姿勢は「作るもの」ではなく「戻るもの」になります。
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まずは「丸まる」を許すことから
骨格を整えようとすると、
「頑張らなきゃ」
「意識しなきゃ」
と思いがちですが、実はその逆です。
まずは、
✔ 背中を丸めてみる
✔ お腹を引っ込めない
✔ 胸を張らない
そして、
「あ、意外と力入ってたな」
と気づくこと。
その気づきこそが、骨格が整い始める合図です。
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骨格を整える=正解の形に当てはめることではない
骨格を整えるというのは、
モデルのような姿勢になることでも、
一直線に立つことでもありません。
自分の背骨が、ちゃんと動ける状態に戻ること。
そのための最初の一歩が、
「まずは丸まる」なのです。
伸ばす前に、丸まる。
支える前に、ゆるむ。
この順番を大切にすると、体は驚くほど素直に変わっていきます。
◾️「背骨のS字カーブが大事」
この言葉は、姿勢や体を学んだことがある方なら、一度は聞いたことがあると思います。
ですが実際には、
S字カーブを“作ろう”としてうまくいかない人がとても多いのが現実です。
胸を張る
背筋を伸ばす
腰を立てる
こうした意識を続けているのに、
・腰が反る
・首が前に出る
・背中が固まる
といった悩みが減らないのはなぜでしょうか。
その答えはとてもシンプルで、
S字カーブは「伸ばして作るもの」ではないからです。
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S字カーブは「結果」であって「スタート」ではない
背骨のS字カーブは、
• 頸椎:前弯
• 胸椎:後弯
• 腰椎:前弯
このカーブが連動して生まれます。
ここで重要なのは、
**この中でいちばん土台になるのが「胸椎の後弯」**だということ。
胸椎は、本来ゆるやかに丸みを持つことで、
• 首の前弯
• 腰の前弯
をバランスよく支えています。
ところが現代人の多くは、この胸椎の後弯が失われている、もしくは固まって動かなくなっている状態です。
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胸椎が動かないと、S字は成立しない
胸椎が使えなくなると、体は別の場所で代償します。
• 胸椎が動かない → 腰を反らせてバランスを取る
• 胸椎が固い → 首だけ前に突き出る
• 胸椎が止まる → 肩や背中に力が入る
この状態で「姿勢を良くしよう」とすると、
S字カーブどころか、負担の大きい歪んだカーブが出来上がってしまいます。
だからこそ必要なのが、
いきなり伸ばすことではなく、まず“丸まる”ことなのです。
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「丸まる」は崩れることではない
ここで言う「丸まる」は、
だらしなくなることでも、猫背になることでもありません。
それは、
胸椎が本来持っている「後弯」という動きを、もう一度思い出させること。
背骨は24個の椎骨が連なった構造で、
一本の棒ではなく、関節の集合体です。
胸椎の後弯は、
✔ 背骨一つ一つが順番に動く
✔ 力を抜かないと生まれない
✔ 呼吸と深く関係している
とても“繊細な動き”です。
そのため、力を入れて姿勢を正すほど、胸椎は動けなくなってしまいます。
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まずは「丸まってみる」という選択
S字カーブを取り戻すために、最初にやってほしいことはとてもシンプルです。
「きれいに立つ」ことではなく、
「背中を丸めてみる」こと。
・胸を張らない
・お腹を引っ込めない
・背筋を伸ばさない
ただ、背骨が前から後ろへカーブする感覚を味わってみる。
このとき大切なのは、
「どこが動いていないか」
「どこで止まるか」
に気づくことです。
丸まれない場所=普段サボっている場所。
そこに気づけた瞬間から、背骨は整い始めます。
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胸椎の後弯が戻ると、勝手に整い始める
胸椎がしなやかに後弯できるようになると、
• 首が自然に後ろへ戻る
• 腰を反らさなくても立てる
• 肩の力が抜ける
• 呼吸が入りやすくなる
といった変化が、意識しなくても起こります。
これは、
「正しい姿勢を作った」からではなく、
背骨同士が連動できる状態に戻った結果です。
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S字カーブは「作る」のではなく「戻る」
背骨のS字カーブは、
頑張って作るものでも、維持するものでもありません。
✔ 動ける
✔ 行き来できる
✔ 固まっていない
この条件が揃ったとき、
S字カーブは自然と“戻ってくる”ものです。
その入り口が、
「まずは丸まってみる」
そして
「胸椎の後弯を思い出す」こと。

